廣井先生と独楽づくりの流れ

ここでは独楽をつくるために必要な、難しい工程でもある木工作業について、そして日本の独楽の長い歴史について説明している。

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ポーラ:あのう、弟子を教える時、あの最初の芸術、それとも一番大事なお教えは何でしょうか。

廣井:ううん、一番大事なことか。一番大事なことって何だ。

ポーラ:それとも最初のステップ。

廣井:一番最初と、そんな難しいこと言わなかったからな。好きなんだからやれっていうことで。でとにかく最初は手を、手を添えて、削り方を教えてあげて、誰でもこう分かるように、手をとって教えてやって、であと、こう、徐々に手放して。んで、やるようにして。だから、比較的に速く。ううん、速い人だと、半年ぐらいで、独楽一個ぐらいできるになってましたね。で時間のかかる人は、ずいぶんかかる人はかかってっけども。

もう大体、半年か一年で独楽をあの、こうひねる、弟子の独楽ぐらいまでできるようになってましたね。だから一番大事なことって、特に教えなかったね。自分が覚えようっていう気持ちが一番大事だからね。

でこれはまぁあの昔みたく、何て言うの、もう親の跡はどうしても継がなきゃならないとか、好きでなりたいとかじゃなくて、あのう親がやってれば必ずそいつはやらならなきゃならないんだっていうことで。もう、ほとんど強制的にやらされてた我々はね。ところがほら趣味の人は好きでやるから、うん好きでたまらないで習いたいから、大事なこととか何とかって教える以前にもう好きなんだから、余計なことを言う必要なかったのね。そんで手を添えて、とにかく一個でも、なるべく速く、できるように。すっとあのガタガタでも何でもね、一個できてこうやると、ものすごく喜ぶんですよね。でそれがまた病みつきになって、次また来て、さらにもっといいの作ろうと、自分で頑張るようになって。でずっとしてランディス先生なんか、ずいぶん上手になったんですけどね。あれアメリカに帰らなきゃ今頃相当、上手になってっと思うんだけど、へへへ。

ポーラ:あのう弟子の時間が完了の後、どのようにあの、元の弟子の方と連絡を取り合いますか。

廣井:ううんあのう、別に連絡を取り合うっつうことはないですね。弟子の都合のいいときに習いに来るっていうことで。でこっちから、どうこうって言うことは何もなかったし。で弟子は、やりたいときに来て、ま来たらば教えてやるっていう。そういう感じでしたね。だからその点、かなり自由でしたね。だから何も強制はしてないし。それはあのう、プロの人もアマチュアの人も、一緒。

ポーラ:であのう、弟子の、弟子を教えることですが、日常の弟子に対するレッスンではどのようなことをしますか。

廣井:ううん、馬鹿話だね。でみんな、アハハオホホと笑い、笑い転げて、楽しむだけ楽しんで。というのね、あのう、いろんなしゃべりがうちであるし、そのしゃべりの中にみな、面白い、うん江戸の、粋(いき)とか洒落とかっていう、のはユーモアとかね。そういうのがいっぱい含まれているので、あの堅苦しく、こう講義するような、教室で教えるような、やり方しても、たとえ覚えていても、この面白いものができなくなっちゃうんですね。だからもう、グルっと砕けて、半分は遊んでるように。であのう自由に。

その人の、なんつうの、持ち味でもって。ただあのう、江戸独楽っていう枠はありますけど、その中で、自由に、遊びながら作ってもらって。だから楽しみながら、みんな覚えてもらったと思うんですけど。これは趣味の人もプロの人も一緒だと思うんですけどね。それがないと本当に面白いのができないんですよね。こう、これはこうだからこうしなさい、これはこうだからああしないなんて、教えるのもいいんですけど、すっとみんな同じようなものになっちゃって、面白さがなくなっちゃうのね。で人それぞれほら個性がありますから、その個性を活かすために、自由に、で面白く、楽しみながら作ってもらって。でそれはプロもアマチュアも一緒。

ポーラ:であのう、木の、あのう技術を習得するのなかで一番難しいところは何だと思いますか。まあ独楽だけではなくて…

廣井:あ、一番難しいって言うとね、そのせいかんって、あのう木を木取りすることと、それからあと刃物を作る、鍛冶屋ね。道具作り。それが難しいですよね。道具が上手にできて木取りが上手にできれば、何でもできるんですけど。削るだけだったら本当にあのう、趣味の人でもみんなもできるんですけど、プロとなる、なるとそれだけではプロになれないので、それまでに、轆轤に乗せるまでの、あー前の支度のための、あの木取りって言って、あのこういう原木をこう細かく切って、さっき前田くん今あそこで切ってましたけど、木取りと、あと使ってる刃物、その刃物はあのう作る品物によって、いろんな刃物を自分で考えて、作るんですけど。

それがこう、うまくできないと一人前にはなれないんですよね。それはね、教えも、文使ってなかなか難しいんで、結局自分で覚えるしかないんですけど。ま基本的なことは教えるんですけど。ただほら、鍛冶屋でないからね、ほん、こっちは鍛冶屋は素人だけど自分流でやってるんですけど。まあその自分流を一応教えて、まあそれも、一つ伝統なのかも分からないんですけど。でうちで使ってる道具を教えてやって。で前田君なんかは今、自分で考えて道具なんか自分で作ってますけどね。でそういうふうになってくると一人前なんですけど。で難しいって言えば、むしろそっちのほうですね。

ポーラ:あのう、江戸独楽なんですが、江戸独楽あの、江戸独楽の特徴について少しあの、説明していただけませんか。例えば、まああの、どのように他の独楽と違いますか。

廣井:あぁ…他の独楽と全然違う、よね。あのう、大体他、ま日本に色々な場所にあのう、その土地土地の名物の独楽があるんですけど、それはほとんどがみな外で回す独楽なんですけど。うちのこの江戸独楽は、ま、もちろん外で回す独楽もあるんですけど、ま、ほとんどが、座敷独楽って家の中で遊ぶ、独楽なんですね。でなか、家の中で回して遊んで、まあゲームをしたり、色んな動き見て、楽しんだり。で回さない時はこう飾っておいて、飾って楽しんで。で楽しみ方がいくつもある独楽なんですよね。で、特徴としては、座敷独楽で、家の中で、大体遊ぶ、独楽なんですね。

で種類が多くて。うん、種類が多くなったのも、ええ昔、江戸時代に、あの独楽って日本の場合はね、昔はあの、大昔、もう千年も、二千年も昔は、あのうお正月の元日の朝に、あのう、宮廷で、独楽を回して、それで、その年の、ううん、なんていうか…国の方針を決めてたみたいなんですよね。占い、占いに使ってたんだけどね。でお正月の元日の朝に独楽を回す役の人がいて、独楽を回して、この止まった方角でもって、今年は、あのう豊作になるとか、凶作になるとか、だからこうしなきゃないとか、ああしなきゃならないとか、そういう色々なことを決めてた、のに使ってたみたいで、でその、一つがね、あのう、ここ、新幹線作る時に、名取市で、あの昔の清水遺跡っつったかな、遺跡があったの。で新幹線通すためにその遺跡をほ、発掘したの、ね。したらそこの、井戸の中から、あの、独楽と、それから笛、と櫛と、三つが出てきたんですよ。でその中の一つはあの、高城に県立の民俗博物館っていうところがあるんですけど、そこに保存されてるんですね。今もそう保存されていますけど。

このぐらいの大きさのね、独楽で。で轆轤で間違いなく引いてるの。これは多分日本で一番古いものじゃないかなと思うんですけど、大体千年ぐらい前、だったそうです。でやっぱりそうやってあのう、井戸の中からそうやって笛とか櫛が一緒に出てきたっていうことは、やっぱりあの何かそういう占いとか、おま、なんつったらいいのかな…何かの決め事とか。あと笛と櫛があるっていうことは、なんかお祭り、があったりとか。だから色々な、なんつうのか、なんつったらいいのか、今で言えばなあ。おまじないっていうか、占いっていうか。それでね、やっぱりなんか物事決めてたみたいで。

でその井戸の中にそのいうのがその入って埋まってたっていうことは、あのう、当時、なんつうのあのう、流行り病い、病気、例えば疫痢とか赤痢が流行ると、井戸を埋めたんだそうですね。あの水飲むとほら、伝染するんで。でその井戸はもう使わないように埋めてしまうので、その時にその、ううん、なんつうんだ、いけ、ううん…なんだ生け贄か。生け贄みたいな感じで、そういう独楽とか、櫛とか、普段日ごろ使ってるものを、一緒に埋めたんだそうですね。その跡でないかっていう、話なんですけど。でその独楽はね、間違いなくあの轆轤で引いてるのは間違いないんです。で鉋(かんな)の、目の、鉋目(かんなめ)の跡がついてるし。

であのう、回した跡が残ってるんですよ、あの、独楽の先がね、こう砂で擦れて、丸くなってるの。で何度も回したんですね。だからやっぱり占いに使ったんじゃないかなっていうことで。そ、そこの遺跡のしゅ、この集落の一番偉い人が、あーそれを回して、何か占ってたんじゃないかなって話なんですけどね。でその、時ね、あの、こういう形の独楽なんですけど。こういう形の独楽ですけど……うんとね、こういう形の、独楽なんですけど…でここにね…こういう、こういう風に…模様、鉋の模様が入ってて…でこの辺が擦れてるのね。こう砂でこう擦れて。でここにね、穴ではないんですけど、こうノコギリで切ってビっと折った跡が、穴が開いたようになって、あったのね。こう上から見ると、こういう感じで。でこれ心棒がついていたんでねえかっていうことで、もし心棒がついてれば、うん、大変なこと、大発見だからっていうことで、見てくれって言われて、見に行ってきたんですけど。で見たらば、ここノコで切った跡があって、で切りきれなくてこうビってこう、もいだ、跡なんですね。でそれ言ったら、この時代はノコギリはなかったはずだって。だけどこれ間違いなくノコギリで切った跡だからっつたら、これがまた大発見で。ノコギリの歴史で、ええそうなるとノコギリの歴史が変わるって。でこの時代すでにノコギリがあったっていうことになると大変なことなんだ、なんて。で大騒ぎになって、で独楽も大騒ぎしたけど、そちらのノコギリの方も大騒ぎで。へへへ。歴史が何百年だか遡るとかなんとかってね。そっちの方が大騒ぎになって独楽の方が、あの、永久保存しとくからって触らせられないって。ははは。で今もたぶんあるはずですね。

ポーラ:であの、ランディスさんの江戸、廣井先生からの江戸独楽のコレクションにある芸術品はどのようなものですか。もう少し説明してくださいませんか。

廣井:あぁ。色々ある。あれ、昨日の写真は?

ポーラ:ああ、ま、あのう、明日見て、それを見てちょっとあの先生が一個一個説明できますが、全体としてどのようなテーマがあるかとか、そのような…

廣井:ああ、テーマは一つ一つみんなあるんですね。だから全部まとめてのテーマっていうよりは一個一個にテーマがあって、謂れがあって、それが全部まとめて江戸独楽なんですよね。

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